サードチルドレンたち

「人、ひとり助けられなくて、なにが科学よ！！」

シンジのプラグスーツを抱えて号泣するミサト。

「シンジ君を返して！ 返してよ！」

初号機に向かって叫ぶ。が、答える者はない。
シンとするゲージ。
発令所のリツコは、嗚咽するミサトの背中を見つめることしか出来ない。

パシャ

その時、水がはじける音がミサトの耳に届く。ミサトが顔をあげると
全裸のシンジが初号機の前に倒れていた。

「シンジくん!?」

●

その日、リツコはケージに立っていた。
シンジがサルベージされてから数日が過ぎている。
リツコは、自分の力でシンジを救出出来なかったことに失望していた。
確かに今回、貴重なデータを MAGI は得ることが出来た。
次ば成功するだろうと思う。

（でも、そういうことではないのよね）

リツコは初号機を見上げる。初号機はいつもと変わらないその無表情のまま
静かにたたずんでいる。

ポタ

ときおり、どこかで水の落ちる音だけが静かなゲージに響き渡る。
リツコは、ためいきをつくと歩き去ろうとした。そのとき。

‥パシャッ

何かが落ちたような音が聞こえた。リツコが振り向く。
初号機の前に、この前と同じように、全裸のシンジが倒れていた。

「え？シンジくん？」

リツコは驚いて近寄る。
気を失っているが、確かにシンジだった。

「‥‥‥‥‥」

リツコは驚きのあまり言葉が出なかった。

●

次の日、ミサトがネルフに出社するすぐに、マヤからリツコからの伝言を
受け取った。至急、ある会議室に来て欲しい、という。

「あそこかあ、あの部屋って遠いから面倒なのよねえ」

ミサトが近くにあった端末で会議室の予約者をチェックすると、確かに
リツコの名前で予約されている。ミサトはぶつぶつと文句を言いながら、
その部屋へやってきた。

コンコン

「入るわよーっ」

ミサトはどうせリツコしかいないだろうと気楽に開ける。
しかし、部屋にいたのは、碇シンジだった。

「あ、ミサトさん‥」

シンジは驚いたように声をあげた。

「な、シンジくん！どうしてここにいるのよ！」
「あ、あの‥」
「今日は学校でしょ、サボっちゃだめでしょ」
「いえ、その」

ははーん、それでリツコが私を呼んだのね。

とミサトはひとりで納得する。

「まったく！ あ、そうだ、ちょっと付き合ってちょうだい。シンジくんに
やってもらいたいことがあったのよ」

ミサトは強引にシンジの手を掴むと、部屋から連れ出す。

「ミ、ミサトさん、リツコさんを待たないと、」
「すぐ戻ってくるからいいっていいって」

●

ミサトとシンジが通路を歩いていると、前方の角からレイが現れた。

「あら、レイじゃない。どうしたの？」
「新インタフェースのテストです」
「あ、そうだったわね」

エヴァのモニタや通信機能などは頻繁にバージョンアップされており、その際
のテストには、たいていレイが使われていた。シンクロ率が安定しており、
かつデータの蓄積が多いためだ。

「綾波‥」

シンジは気まずそうに、目線を逸す。

「碇くん？」

レイはシンジが気づくと近付いた。まじまじとシンジを見つめる。

「あ、綾波‥‥あの‥‥」
「‥‥‥‥‥」

レイはさらにシンジに近付き、シンジの胸元あたりに顔を寄せる。

「レイ、どうしたの？」
「‥碇君の匂い‥」
「え？」
「‥いつもと違う‥‥」

ミサトは、一瞬レイの言う意味が掴めなかった。

「‥シンちゃん、ギョウザかなんか食べた？」

シンジは首を横に振った。

そのとき、

「ミサトーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

リツコの声が聞こえる。
ミサトが後ろを振り向く。
と同時に、ものすごい勢いで走ってきたリツコが３人の前を走り過ぎ、
続いて風がミサトの髪を巻き上げる。リツコのハイヒールでかん高い音を
立てて、止まった。

「はあ、はあ、はあ、はあ」

肩で息をしている。

「どうしたのよ」

リツコはミサトを無視してレイに向かって言う。

「レイ、悪いけど帰って」
「‥‥はい」

レイはゆっくりとシンジを一瞥すると、歩き去った。

「だめじゃない、シンジくん」
「すいません」
「ま、どうせミサトが無理矢理、連れ出したんでしょうけど‥‥」
「ハハハ、ごめんリツコ、すぐに戻るつもりだったのよ」
「まあいいわ。話は部屋の中にしましょう」

●

シンジ、ミサト、リツコはもとの会議室に戻った。
扉を閉めると完全に防音になる。

「で、なに？ シンジくんのことじゃないの？」
「そうよ」

リツコはシンジが落ちてきたという話をミサトに聞かせる。
さらに諜報部と連絡をとって、もうひとりのシンジが学校で授業を受けてる
ことを確認する。

「つまり、このシンジくんは、今学校にいるシンジくんとは同一人物にして、
別人なのよ」
「シンジくんが二人いるってーの？」
「そうよ」

リツコはあっさり言い放つ。ミサトはシンジにも確認する。

「‥そうなの？シンジくん」
「えっと、そうみたいです。僕もいまひとつ実感がわかないんですけど。
  いてててて‥‥、ミ、ミサトさん何するんですか」

ミサトがシンジの頬を左右にぐいっと引っ張っている。

「ふーん、感触もそっくりね」
「な、なんでそんなんで分かるんですか」

シンジは一応抗議するが、当然無視される。

「ミサト、さっきも言ったでしょ。どちらがホンモノとかソックリとかじゃ
なくて、どちらもシンジくんなのよ。これは MAGI もそう判断しているわ」
「信じられないわね」
「私もそうよ。でも事実よ。」

リツコは短く宣言する。

「そういえば、さっきレイが何か言ってたわよ。匂いが違うとか」
「そう、どうしてレイには分かるのかしら」
「一緒に暮らしてる私でさえわからないのに」
「だから MAGI でも分からないって言ったでしょ」
「匂いでわかるって動物みたいね、レイ」

ミサトは真剣な顔をしてリツコと話しているが、いまだシンジの頬を
引っ張ったままだ。

「いいひゃげん、はなしてくださいよ〜」

●

キキィッーーーッ

タイヤが地面との摩擦を利用して止まる。
ミサトのルノーが止まったのは、郊外の新築のマンションの前。
ドアが開いて、ふらふらとシンジとリツコが出てくる。続いて機嫌のいい
ミサトが出てくる。

「相変わらずね、ミサト」

首を振りながら、シンジが控え目な感想を漏らす。

「スリリングだったでしょ」
「そう思ってるならやめてくださいよ」
「いいじゃない、楽しいんだし」
「二人ともそれぐらいにして。行くわよ」

リツコはさっさとマンションに入っていく。
あわててミサトとシンジもついていく。
マンションの入口には、ネルフのマークが刻まれていた。

●



「ただいまー」

夕方、ミサトが自分の家に帰ってくる。

「お帰りなさい、ミサトさん」

シンジが台所から顔を出して答える。
ミサトは何も言わず、シンジに顔を近付ける。

「ミサトさん、ど、どうしたんですか？」

後ろにのけぞりながら、シンジがかろうじて言う。
ミサトは、息がかかるくらい近付き、シンジの顔をなめるように見つめる。

ふーん、やっぱり区別つかないわね。

「ちょっと、ミサト！あんた何やってんのよ！」

アスカが叫ぶ。

「ん〜別に」
「別にじゃないわよ。まーたく、男っ気の無い女はかわいそうね。
バカシンジにまで手を出すなんて」
「アスカ、何を言ってんだよ」
「そーよ、そんなわけないでしょ」
「じゃあ何してたのよ」
「アスカには関係ないでしょ。ところでマジック取ってくれる？」

突然ミサトがアスカの後ろの方を指さして言う。

「あん？」

アスカがマジックペンをミサトに渡すと、ミサトはキャップを取り、
シンジのひたいに、キュキュッ、丸を書く。

「な、なにするんですか」

ミサトは意に介しない。

「いい、消しちゃだめよ。これは命令よ」
「そんなあ」

●

食事時も正面に座ったアスカがシンジを見て笑い続ける。

きゃははははははははははははは

「なによ、それ」
「う‥ミサトさーん」

ミサトは平然としている。

「当分このままにしててね。大丈夫、そんなに目立たないわよ」

シンジのじと目を無視して、ミサトはエビチュをぐいっと飲んだ。

●

翌日、シンジは学校で注目されていた。

「あはははは、シンジ、なんや、それ」
「何かのおまじないか？」
「ねえーヒカリ、間抜けでしょ」
「アスカ、何かの任務なんでしょ。そんなに笑っちゃだめよ」

教室中の視線を感じつつ、シンジは机に伏せていた。

うう‥ミサトさん‥うらみますよ‥

もちろん、シンジの恨みなどミサトに届くはずもなかった。

●

エヴァ初号機の前に立つミサト。

人間が溶け、また現れる。エヴァって何なの‥？

ミサトは常にその疑問を考えていた。
エヴァは、ただのロボットや人造人間ではない。
では何なのだろう。誰も、リツコも指令も副指令も答えてはくれまい。
ミサトが思考に沈んでいたとき ────

パシャッ

水たまりに何かが落ちるような音が響いた。
ミサトが振り返る。
シンジが、このまえと同じように全裸のシンジが、初号機の前に倒れていた。

「リ、リツコぉーーーーーーーーーーお」

ケージにミサトの叫びが響き渡った。

●

数日後、久しぶりにミサトは家に帰った。あれから毎日のように
シンジが出てくるため、その対応に追われていたのだ。

居間ではアスカがテレビを見ていたが、ミサトに気づいて振り向いた。

「アスカ、シンジくんは？」
「ん〜〜、部屋よ」
「そう。最近シンジくんの様子、どう？」
「どうって？」
「何か変わったことない？」
「別にないけど」
「あ、そ。ならいいわ」
「あん？ なんなのよ」
「なーんでもないわよ」

パタン

ミサトはさっさと自分の部屋に入っていってしまった。
アスカは釈然としなく思ったが、やがて自分の部屋に戻っていった。
アスカが部屋に戻ると同時に、

ピピピピピピ‥‥‥

とベッドの脇に置いたアスカの携帯電話が鳴る。アスカはベッドに腰掛け、
携帯電話に手を伸ばした。

「アスカ？」

アスカがしゃべる前に、向こうから喋ってきた。

「あら、ヒカリ？どうしたの」
「碇くんのことで、ちょっと‥」

ヒカリは言いにくそうだ。

「なに？」
「あのね、今日昼間、碇くんを見たのよ」
「シンジを？」
「金髪の女の人と一緒にいて、知らないマンションに入っていったの」

ヒカリは続ける。

「昨日は学校があったんでしょ。まさか、碇君があんな年上の女の人と
密会してるとは思わないけど、でも学校サボるなんて今までなかったから、
一応アスカに確認しておこうと思って‥」

告げ口みたいだと思ってるためか、いまいち歯切れがよくない。
しかしアスカの答えはあっさりしていた。

「シンジはずっと学校にいたわよ」
「え、うそ」
「‥ほんとよ」
「‥‥そ、そうよね。そう言われると私の見間違いだったのかもしれないわ。
ごめんね、アスカ」
「‥‥‥」

アスカはじっと何かを考える。

「？」

アスカは突然口を開く。

「ヒカリ」
「な、なに、アスカ」
「それってどのあたり？」
「えーと、第一期開発地区の‥」

●

翌日は全国的に土曜日で、完全週休二日制により学校は休みだった。
しかし、Nerv は休みではない。ミサトはまだ寝ているアスカの部屋を
うらやましそうに一瞥すると、出かけていった。

それを見計らったかのように、すっとアスカが出てきた。
すでに着替えている。

「ぜ〜〜たい、何か隠してるわ！ あたしが暴いてあげるわ！」

アスカは誰に言うともなく宣言した。

●

アスカはヒカリから聞いていたマンションへと足を向けた。
まずその周辺から探るのようがよいと考えたためだ。
しかし、その途中で意外な二人連れに気づいた。道路の反対側の歩道を
シンジとリツコが歩いていたのだ。

（シンジ？ そういえば今日は用事があるとか言ってたわね）

アスカは昨夜シンジがそんなことを言ってたなと思い出した。

‥‥ヒカリの言ってた金髪女ってやっぱりリツコだったのね
これは調べるしかないわね。

アスカはそう決心するとすぐに道路を横断するが、その間にふたりを
見失ってしまった。

「‥‥まずったわ、でもまだ遠くには行ってないはず」

アスカはとりあえず近くを走りまわる。

その時、前方を歩いている二人連れに気づいた。ひとりはシンジで、その
隣にいるのはレイだった。
楽しそうに会話している。

アスカはダッシュすると、シンジにラリアートを食らわした。

ぐえっ

シンジはダメージから立ち直ると、のどを押えながら抗議をした。

「な、なにするんだよ、アスカ！」
「なにをするの？」

レイも非難の目でアスカを睨んでいる。

「リツコはどうしたのよ！」

アスカは二人の抗議を無視すると、シンジを掴み、問い詰める。

「なんのことだよ、アスカ」
「うそつくとただじゃ置かないわよ」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「ほんとに知らないの」
「知らないよ」
「‥‥‥」

‥‥気まずい雰囲気が流れた。

●

とりあえず、近くの喫茶店に入った。

「じゃあ、僕とリツコさんが一緒に歩いていたっていうの？」
「そうよ」
「それはありえないわ、だってずっと私と居たもの」
「う‥、それはそれでムカつくけど、まあいいわ」

アスカがレモンティーを一口飲む。

「最近、シンジ絡みでなにか変わったことなかった？」
「え、ぼく？」
「あんたは黙ってなさい！」

レイはしばらく黙っている。

「このあいだ、知らない碇くんに会ったわ」
「知らない？」
「匂いが違うの‥‥」

アスカはレイの答えに、ちょっとひく。

「匂い？」
「‥‥‥」

シンジは自分の腕をくんくんとかいでみる。
アスカはあまり深く追求しない方がいいと問い直す。

「そ、そう。他に何かなかった？」

が、レイは何も答えず、一点を見ている。
不審に思ったシンジとアスカがその視線の先を追うと、‥‥
ミサトとリツコが奥の席に座っていた。

そっと耳をすます。

「明日は朝イチで来てくれる？」
「あたしもあの子たちを連れていくから」
「うまくいくかしら」

などと喋っているのが聞こえた。

「何の話かしら」
「明日の朝って言ってたね」
「よーし、明日はミサトを尾けるわよ」
「そう‥」
「頑張ってね」
「何言ってんのよ、あんたらも来るのよ」

アスカはシンジとレイを交互に指さした。

●

次の日、いつもと同じように出勤するミサト。アスカとレイとシンジは
こっそりとそのあとを追った。

ミサトは、Nerv の方向へは行かない。

「やっぱりね」

アスカがつぶやく。

ミサトはずんずんと歩き、やがてあるマンションの前で足を止めた。
そのまま、そのマンションに入っていく。

「ヒカリが言ってたのも、このあたりね」

アスカはしたり顔でうなづく。

「委員長がどうしたの？」
「そんなことより、私たちも行くわよ！」

続いて三人も入っていく。

玄関からすぐにあるちょっとしたロビーのようなところを覗いた途端
アスカは声をあげた。

「なによ！これー！！」

シンジ、シンジ、シンジ‥。
数十人の碇シンジが同じような表情をして立っている。
アスカの声をきいて、いっせいに振り向く。

「アスカ？」
「アスカ？」
「アスカ？」
「アスカ？」
「ひっ‥‥‥」

アスカは小さく悲鳴をあげた。隣にいるシンジとレイも固まっている。

「なによあんたら、まさかつけてきたの？」

ミサトが三人に気づいた。

「こうもあっさり尾行されるとは不様ね、ミサト」
「リツコさん‥」

シンジがようやく声を出す。

「な、なんなんですか、これ」
「シンジくんよ、あなたと同じく」
「え‥」

リツコは静かに語る。

「この間の戦闘で、シンジくんのシンクロ率は 400% に達して、エヴァと
分子レベルまで一体化したわ。それから一カ月かかって、シンジくんを
サルベージすることが出来た」

アスカもレイも真剣に聞いている。

「私たちはシンジくんを助け出したと思っていた。そう、事故にあって
閉じ込められた人を救い出すように、シンジくんをエヴァから引き上げた
と思っていた。でも、そうではなかった」

たくさんのシンジたちは、すでに事態の説明を受けているため、
辛そうに顔を伏せている。

「シンクロ率 400% で溶けたシンジくんがエヴァに吸収された時に
エヴァのシンジくんの『型』が出来たの。プラスティック成形の鋳型
みたいなものね。一カ月後、その『型』からつくり出されたのが
そこにいるシンジくんよ」

アスカが思わずシンジの全身を見渡す。

「『型』があれば同じものをいくつでも作ることが出来るわ。同じように、
シンジくんの『型』からも、シンジくんが次から次へと生み出されたのよ」

レイは見動きひとつしない。

「それがここにいるシンジくんたち。どれもシンジくんよ。遺伝子レベルまで
あなたと同じ、碇シンジくんなのよ」

「そ、そんな‥‥」

シンジが声を漏らす。

レイはぎゅっとシンジを手を握り締める。シンジはそれに気づくと、
自分からレイの手を強く握りなおした。

リツコが言う。

「安心してシンジくん、ちゃんとひとりずつあるから」

その時ドアが開いて、たくさんのレイがわらわらと入ってきた。

「碇くん‥」
「碇くん‥」
「碇くん‥」
「碇くん‥」
‥‥‥

あっという間にロビーは、たくさんのシンジとたくさんのレイでいっぱいになる。
レイはそれぞれ特定のシンジを探しだすと、腕を絡ませる。
シンジとレイは同じ数だったのか、きれいにペアが出来ていた。

「MAGIのデータから得た知識なんだけど、レイも同じようにエヴァから
生み出されたみたいなの。そのときは次々とレイが生まれたみたいね。
今日までは、そこにいる綾波レイ以外のレイは LCL水槽の中にいたの。
定期的にレイの記憶をコピーすることで、‥予備として生きてきたの」

リツコはさすがに辛いのか言葉が重い。
ミサトが代わりに説明する。

「リツコもこういうのは、いやだったみたいなのよ。それでね、ちょうど
シンジくんが、こうして増えてくれたので、レイの面倒をみてもらおうかな、
ってことにしたのよ」
「ええーー」

とアスカ。

「いいじゃない。レイもそれでいいって言うし」

軽くミサトが言う。
それぞれシンジにしがみついたレイが一斉に頷く。

「ひっ‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

抗議しようとしたアスカだが、圧倒され何も言えなかった。

●

後日。

「レ、レイ！」

空になったダミーシステムの水槽をみて、碇ゲンドウは叫んだ。
そのうろたえる様子を影で見ていたリツコが、ニヤリと笑ったという。


おしまい。